コラム(2014年11月)
■ルネサンス音楽にビビビッ バロックフルート奏者 前田りり子さんの近況(2014年11月7日)
今回のコラムは朝日新聞2014年10月10日付朝刊「近況」欄に掲載されたインタビュー記事を、同新聞の許可を得て、全文を転載しました。
バロックフルート奏者だが、ルネサンス音楽に「はまっている」。ルネサンス音楽とは、バロック音楽より古い14〜16世紀ごろ。歌を主体にした、神の摂理を追求する調和の調べだ。
「いつもは現代の目で眺めている(バロックの)バッハも、ルネサンスから見ると違って見えます。バロックを知るにはルネサンスを、ルネサンスを知るには前代の中世を。どんどん時代をさかのぼっていますね」
ただ、当時の資料や楽譜は圧倒的に少なく、演奏法もわからないことばかり。図書館で楽譜を借りてきては、どの曲がフルートに合うか調べている。たいへんだが、「一から始めるおもしろさがありますよ」と、チャレンジ精神旺盛だ。
ルネサンスのフルートは単なる穴が開いただけで筒みたいだが、「非常に繊細な工夫が凝らされている」とのこと。近年、良質な楽器が増えてきたそうで、フルート4本でこの時代専門のグループ「ソフィオ・アルモニコ」をつくり、東京を中心に演奏活動を続けている。
昨年幕を閉じた福岡古楽音楽祭では常連だった。新・福岡古楽音楽祭にも出演(11日、福岡市のあいれふホール)し、引き続き古楽の楽しみを教えてくれる。
(編集委員・中村俊介)
写真は、2014年10月11日福岡市あいれふホールで開催された新・福岡古楽音楽祭「室内楽コンサート〜ルネサンスからバロックへ、モンテヴェルディが起こした革命」で鈴木美登里氏(ソプラノ)、佐藤豊彦氏(リュート)と共演して、ルネサンスフルートを吹く前田りり子さん。(写真撮影:白石嘉毅氏、この写真は朝日新聞に掲載されたものではない)