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コラム(2014年3月)

■ BCJ ニュージーランド公演(2014年3月5日)

 3月1日から7日までバッハ・コレギウム・ジャパンのツアーでニュージーランドの首都ウェリントンに来ています。日本と4時間の時差があるニュージランドは夏の終わりでまだ暖かいという噂でしたが意外に寒く、セーターやジャケットが手放せません。強い海風が絶えず吹くウェリントンでは、風があるところとないところの体感温度が著しく違うせいか、町ではノースリーブで短パンの人とダウンジャケットを羽織っている人が同時にいる状態で、不思議な光景です。

 ニュージーランドの人口は400万人、羊の数は600万匹だそうですが、町は比較的のんびりしている様子で、首都と言ってもこじんまりしています。空き時間に動物園にキウィなど見に行ったのですが、こんもりとした山の中の自然あふれる広い檻の中で、動物たちも思い思いにとても幸せそうにのんびり過ごしており、見ている方もなんだかほっこり幸せ〜になってきました。国民性は動物にもうつるのですね。でも、うっそうとした木々の間に動物を探し出すのはなかなか大変でしたが・・・。

 コンサートが行われるMichael Fowler Centreは2000人以上入る大ホールですが、すり鉢型のせいかそれほど大きくは見えません。舞台上の響きは少し悲しくなるほどドライですが、客席で聞くと意外に響きがあります。舞台上に全く音が残らず、すべて客席に運ばれていくタイプの会場のようです。演奏する立場からすると、少しやりにくいのですが、お客様によく聞こえるためでしたら、仕方ないですよね。プログラムは2公演あり、2月に録音したばかりのミサ曲イ長調BWV234(コラム2を参照)と、帰国後川崎でも演奏があるヨハネ受難曲を演奏します。リハーサルでは、ミサ曲のフルート付きアリアQuitolisは「オペラシティの公演の時以上にホールに朗々と響き渡たっているよ」とのことで一安心。明日からの本番が楽しみです。

左の丸い建物がコンサートホールMichael Fowler Centreです。

BCJのリハーサル風景とニュージーランド公演のポスター

■ BCJヨーロッパ公演(スペイン ビルバオ)(2014年3月24日)

 ニュージーランド公演に続いて、ヨーロッパ公演に来ています。今回は18日間の予定でスペイン、フランスを回ります。まず最初はスペインのビルバオでした。ビルバオはバスク地方の中心地で、現代美術で有名なグッケンハイムなどを誘致し、美術があふれる街として観光にも力を入れています。19世紀から20世紀にかけて鉄鋼業を中心とした工業がとても盛んだったそうで、当時の立派な建物と現代建築とが絶妙なバランスを取りながら共存してます。高さ50メートルもあるビスカヤ橋は世界遺産にも登録されており、渡し船代わりに橋から吊られて動くゴンドラは、今も市民の足として健在で、車や人を運んでいました。

 私たちが演奏した会場(Sociedad Filarminica de Bilbao)は、1816年に建てられた歴史的な劇場でした。街中の通りに面した小さな入口から入ると、一体どこにこんな建物が隠れていたのだろうと、びっくりするほど立派な500名ほどのボックス型劇場が出現します。楽屋には、これまで劇場で演奏した数々の有名な演奏家たちの写真がところせましと飾られており、中にはなんとラベルの写真までありました!

 舞台は劇場の伝統に則って奥から客席に向かって傾斜がつけられており、オーケストラの椅子も楽譜もすべてが斜めになっているため、舞台に出ると最初10分くらいはめまいがしました。演劇でのすべてのささやきまでがよく聞こえるように作られているため、残響はほぼゼロ。教会音楽を演奏するのは非常に難しい会場でしたが、ヨハネ受難曲を劇ととらえるなら、いつもとはひと味違ったドラマティックな演奏になったのではないでしょうか?お客様たちにもとても楽しんでいただけたようで、コンサート後には大きなブラボーがたくさん飛び交っていました。

 コンサート後、近くのバールでオケのメンバーたちと打ち上げをしていると、同じお店にコンサートにいらしていた方も来ており、何人もの方から最高だったよと喜びの声をかけて頂けたのもうれしかったです。

過去の出演者の写真がはられた楽屋

楽屋にあったラベルの写真とビルバオ美術館にあるPieter Fransz Gerebberの絵

シューボックス型の会場

雰囲気のある劇場のロビー

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